大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(ネ)684号 判決

仮処分申請は本来その必要な範囲内においてのみ許さるべきで、その範囲を越えた部分は許さるべきではない。本件の場合においても「被控訴人が右店舖及び右物件を占有使用し且営業を為すことを妨害してはならない。」との仮処分申請は必要の範囲と認められるから、右申請を認容した原裁判所の決定は相当であるから、これを認可すべきである。

原裁判所は上記仮処分決定で、被控訴人の申請を認容して、「被控訴人の委任する執行吏に上記認定の不作為の趣旨を適当な方法で公示すべき旨」を命じている。しかしながら、占有者が占有物の占有を保持するため侵害するおそれのあるものに対し、占有を妨害してはならないとの仮処分決定を得て右決定が債務者に送達されたときは、それによつて直ちにその効力が生じ右仮処分命令が存続する限りその効力が存続しているのであるから、特別の事情がない限りそれでその目的は十分に達しているものといわなければならない。執行吏に債務者の占有するものの占有を移した場合のように、第三者に公示する必要からその旨を公示することは全く無意味でありまたその必要もないのである。ゆえに、本件仮処分決定において、「申請人(被控訴人)の委任する横浜地方裁判所執行吏は右の主旨を適当な方法で公示せよ。」と命じたのは仮処分の必要な範囲をこえた法律上意味のないものといわなければならない。ゆえに、右仮処分決定中この部分は失当であるから、取消すべきである

(村松 伊藤 土肥原)

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